効率的な自習テクニックの紹介

10個の自習テクニックを紹介しているレビューを元に紹介していきます。

元の論文はこちら↓
John Dunlosky, et al. Improving Students’ Learning With Effective Learning Techniques: Promising Directions From Cognitive and Educational Psychology. Psychological Science in the Public Interest 2013,14(1) 4-58

今回紹介するのは、10個のうち最高評価を受けた2つのテクニックのうちの1つである「分散型学習」です。

この手法は一度にまとめて学習するのではなく、物量的な間隔を開けること(=スペーシング効果)と時間的な間隔を開けること(=ラグ効果)を備えています。特に長期的な記憶の定着に有効とされています。

機序としては間隔が空いていると1回目のことを思い出しながら2回目をやるので知識の統合に貢献していると考えられています。

これを端的に示した研究があります(Bahrick,1979)。
学習を連日行った群と1日または30日空けて学習を行った群の3群比較です。合計5回の学習セッションがあり、最後のセッション終了直後の成績は連日行った群と1日空けた群がほぼ同程度で高かったです。しかし、30日後に再度試験を行うと結果は逆転しました。30日空けた群が最も成績が良く、次が1日空けた群、最後に連日行った群でした。

よく言われる「一夜漬けは付け焼き刃ですぐ忘れる」という経験則と一致する結果ですね。短期間の結果を出すという意味ではまとめて学習する大量学習が有利ですが、長期的な記憶定着を狙うなら間隔を空けた方が良いということになります。

メタアナリシスでも大量学習よりも分散型学習の方が成績がよいと報告されています(Cepeda, 2006)。

では、どの程度の間隔がよいのでしょうか?

個人差や内容による差も大きそうですが、一つの目安として保持したい記憶期間の10-20%の間隔が提唱されています(Cepeda. 2008)。

例えば3ヶ月後の試験への対策であれば9-18日おきの学習ということになります。

ただし、全く初めての分野であった場合は均等に割るよりかは最初を重点的に行った方が良いかもしれません。このレビューとは別の研究になりますが、初学者の分数学習において複数の教え方を研究したでは、ある程度の回数やってから次のやり方に進んだ方が学習効果が高かったと報告されています(Martina, 2010)。これと同じように考えると、学習内容の概観をつかめるようになってから次に進まないと思い出すことすら満足にできなくなってしまうので多少のまとまりが必要でしょう。

極端な場合で考えると、生化学の回路を学ぶのに1つの物質だけやっても繋がりが全く見えてきません。重要なところは何度も反復することを前提にして、学習の総量を確保できるよう分割するのがよいでしょう。

【ポイント】 保持したい期間の10-20%ずつ間隔を置いて分散型学習をすると効率的

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