効率的な自習テクニックの紹介
10個の自習テクニックを紹介しているレビューを元に紹介していきます。
元の論文はこちら↓
John Dunlosky, et al. Improving Students’ Learning With Effective Learning Techniques: Promising Directions From Cognitive and Educational Psychology. Psychological Science in the Public Interest 2013,14(1) 4-58
今回紹介するのは最高評価を受けた2つのうち1つの方法である練習テストです。前回の記事は6/4をご参照ください。
ほとんどの人にとって、テストは必要悪と認識されているでしょう。できれば受けたくない、避けたいもの、そんな考え方は普遍的なようです。
しかし、実は練習テスト自体は学習効果を向上させる伝統的な手法です。100年以上に渡る研究の蓄積があり、1906年時点でも「ある事実を内側から積極的に思い出すことは、原則として外側からの印象よりも優れている」(Thorndike)と語られています。
この文脈での練習テストは、授業評価・成績評価とほぼ無関係なテストであり、学習者自身で行うことができるものを指しています。具体的にはフラッシュカードや教科書の章末問題、電子教材付属の練習テストなどです。
⭐️他の学習法と比較した練習テストの有効性を示した研究
・Roediger and Karpicke (2006)
対象:大学生に短い説明文を提示し、初回学習させる
介入:自由想起の練習テスト
対照:2回目の学習(同一)
アウトカム:1週間後に学習内容を自由想起させた成績
結果:正答率56%対42%で練習テスト群の方が優秀
・Karpicke and Roediger(2008)
対象:大学生にスワヒリ語と英語の翻訳を提示し、手がかり再生させる
介入:正しく想起された語も含めて学習サイクル継続
対照:正しく想起された語は省いて学習サイクル継続
アウトカム:1週間後に最終テスト
結果:正答率80%対36%で正答も含めてサイクル継続をした方が優秀
⭐️練習テストの有効性に関する機序
直接効果+媒介効果の仮説が提唱されています。
直接効果:
精緻化検索プロセスを誘発していると考えられています。つまり、長期記憶から情報を探し出そうとすることで、検索された情報そのものと関連情報両方が活性化され、アクセスが容易になるような経路が構築されると考えられています。
媒介効果:
再学習をする際に、符号化を促進するという結果が出ており、覚える足がかりを初回よりも構築しやすいと考えられます。
また、情報を整理したり、個々の項目の特異的な側面を処理する能力を高める可能性も示唆されています。
⭐️形式
では、どのような練習テストが良いのでしょうか?
回答形式の学習効果としては、想起>空欄補充のように、より生成的な、考える回答形式の練習テストの方が空欄補充や選択式よりも有効なようです。
確かにそれだけ脳に負担をかけるので、精緻化検索プロセスが強化されそうですよね。
また、正答が返ってくる程度でもいいのでフィードバックのある方がないよりも優れていると報告されています。
間隔としては、分散学習と重複する部分がありますが、間隔をあけた方が学習効果は高いようです。
量は単純に多ければ多いほど良いですが、1回に連続して多くのテストをしても効果はほとんどないようです。
まとめると、想起や短文回答のような生成的な問題形式を間隔を保って大量に行うのが良いようです。
注意点の私見としては、生成的な問題ほど負荷が大きいのでモチベーションの維持が難しくなりがちだということでしょうか。続けやすさ、取り組みやすさを考慮して選択式から始めて後半に想起を織り交ぜると良いのかもしれません。
⭐️対象者
未就学児から高齢者まで、医学部生も含めて幅広い年代や層に効果が認められています。また、学習内容についての元々の知識レベルにも依存しにくいという報告があります。
そして、アルツハイマー病、多発性硬化症の患者においても記憶保持が改善することが示されています。
⭐️内容
単語のペア、地図上の位置や特徴、CPRのテクニック、関数の学習、推論など多くの内容について有効性が示されています。また、直接テストされていないが関連する情報についても記憶を向上させたという報告もあります。